AEON Liquor Craft Beer Expo

取材・執筆: Kumagai Jinya 8月22日と23日に、イオンリカー自由が丘店でクラフトビール試飲即売会「CRAFT BEER EXPO」が開催された。同イベントは両日で600人近くの参加者を集め、終始にぎやかな雰囲気に包まれた。 イオンリカーは東京都、神奈川県、千葉県で26店舗を展開するイオングループの酒販店。自由が丘店(東京都目黒区)は自由が丘駅から徒歩3分の場所にある旗艦店で規模が大きい。二つのフロアで4000種類以上の商品を販売している。 イベント開催時は、店先に出展した8社(えぞ麦酒、木内酒造、国分、ジュート、ナガノトレーディング、ベアードブルーイング、ヤッホーブルーイング、AQベボリューション)がテーブルを設け、参加者にビール(国分は缶詰商品の「缶つま」の試食)を試飲用にして提供した。銘柄は合計42(缶つまは4種)と、ビールフェスティバルと言ってもよいほど多く出された。参加者は400円で試飲用のグラスを購入し、そのグラスで時間の許す限り試飲を楽しめた。そして気に入った銘柄があれば、店内で購入できる仕組みだった。この方式は効果を十分に発揮したようで、この2日間は昨年の同時期と比較してクラフトビールが7倍も売れたという。 同時に「缶つま×クラフトビールフードペアリング体験」が期間中に4回にわたって開催された。1回につき定員は10人で合計40人分の枠があったが、すべて早々に予約で埋まった。参加者は、創業303年・100年以上の缶詰製造歴を誇る国分の「缶つま」にひと手間加えた料理3種と、ヤッホーブルーイングの「水曜日のネコ」「インドの青鬼」「東京ブラック」の組み合わせを楽しんだ。 イベント全体の参加者は22日が268人、23日が320人。参加した人だけでなく通りかかった人も、自由が丘の商店街に突如として現れたビールイベントの盛況ぶりに驚いたことだろう。筆者も参加してみて、その日の晩に飲むビールを探すためにいろいろな銘柄を少しずつ試すことがまず楽しかった。そして、試飲、家飲み用の購入、さらに各社とのコミュニケーションが取れるという、新しいイベントのあり方に思えた。今後も同様のイベントが開催されることを心から期待する。

緊急インタビュー:周山街道ビールの今後

取材・執筆: Kumagai Jinya 1997年9月にビール免許を取得して以来、「周山街道」というブランドのビールを展開してきた羽田酒造。ビールの銘柄は創業以来、アンバーエール、ヴァイツェン、ケルシュの三つ。一般には、もともと1893年に創業した清酒メーカーとしての方が知られているかもしれない。同社は7月10日に民事再生法の適用を申請、同日に監督命令を受けた。地ビール/クラフトビールファンにとっては、信用調査会社や新聞などによる素っ気ない情報だけでなく、「周山街道」というブランドが存続するのかどうかが気になるところである。同社の水谷憲郎・社外取締役に現在の状況を聞いた。 ――今回の民事再生法適用の申請をした理由は何でしょうか。 ビール事業を始める際、3億円の投資をして設備をそろえました。この、いま考えるとかなり大きな規模の金額が経営を圧迫し続けてきて、これ以上耐えられないと判断しました。この設備をフルに稼働させたら、日本の小規模ブルワリーの製造量において上位10社に入ることになるでしょう。この投資に見合う販売計画に対して、実際の売り上げは到底届きませんでした。 さらに、設備を維持するための費用もかなりかさんでしまっていました。そして老朽化が進み、補修では間に合わず、入れ替えが必要な設備も出てきたのです。それを実施するには数千万円以上が必要になる見込みです。 ――多くのブルワリーの製造量が増え、周山街道のビールの売り上げも増えているなか、もう少し耐えるという選択は取れなかったのでしょうか。  確かに近年、ビールの売り上げは増えていますが、設備投資の3億円を支えるほどではありません。近年の年間製造量は順調に推移していましたが、ビン製品が主体ではコストがかかり、収益構造は大きく変わりませんでした。それゆえ、金利は払えているが元本は減っていない状況です。 だから、既に報じられているように、負債額の3億円は、そのまま最初の設備投資分ということです。ビール事業の赤字は、好調な清酒からの利益で補填し続けてきました。このよろしくない構造を見直すために、今回の申請に踏み切ったのです。 ――近年のビールの売り上げ増の要因は何でしょうか。  樽詰めの販売が拡大したことが大きい。6年前から、関東エリアを主体に樽詰めの拡販を進めてきました。例えば、東京・神田「地ビールハウス蔵くら」や町田の「十月祭」といった比較的古くからあるビアパブでは、取り扱っていただいてきました。その後、象徴的だったのは、都内で今や7店舗を営業しているクラフトビアマーケットとの取り引きです。1号店である虎ノ門店がオープンする際に「周山街道のビールを扱いたい」と連絡をいただいたのです。現在は全店で月1回程度のゲストビール扱いにしてもらっています。 取扱店を増やすためには、デパートの試飲会を活用してきました。出展を決めると、そのデパートに近いビアパブに「試飲会でそちらのお店を宣伝するので」と営業をかけていったのです。そして試飲会にいらしたお客さんには、樽詰めを扱っている近くのビアパブを宣伝してきました。こうしてお互いに幸せな形で取り扱い店を増やしたのです。 また品質の良さを評価され、例えば京都市内の料亭からのオファーでOEM(委託醸造)もしてきました。 ――今後、周山街道のビールはどうなるのでしょうか。 今夏の製造の最盛期が終わったら、製造をいったん休止します。ただし醸造免許を返還する予定は今のところありません。休止後にどうするかは、現在は検討中です。8月の京都府宇治市の「クラフトビール夜市」というイベントには、予定通り出店します。今回の決定の前から決めていたことですから。しかし、毎年ビールを送る形で出展していた9月のビアフェス横浜には、在庫が残っていなければビールを送れないかもしれません。 ――再建計画はどのようになっているのでしょうか。  まずは清酒を残す形で経営を立て直します。そのために、主たる支援者になっていただくのが、株式会社京都酒販という京都府内で最大の酒類卸売会社。ここはもともと、羽田酒造から独立して生まれた会社です。 ――民事再生法適用の報道の後、どんな反応がありましたか。  取引先や消費者から「がんばってください」「製造を止めないで」といったお声をたくさんいただいています。そうした激励をいただくのは大変ありがたいことです。しかし決断としては悲しいものであるので、複雑な気持ちです。

シエラネバダ流ビール管理のお作法

ビアクオリティーコントロールセミナー・リポート (アメリカンクラフトビアエクスペリエンス) Kumagai Jinya 米国ブルワーズアソシエーション(BA)によるイベントで、多くのブルワーが来日してビールが提供された、アメリカンクラフトビアエクスペリエンス(ACBE)。6月20日は東京で開催され、ビールは米国から24のブルワリーによる82の銘柄を提供、1500人の来場者を集めた。翌21日の大阪開催では、来場者は700人以上、ビールは22ブルワリーから74銘柄だった。 さらに大阪では、本編の前に、当日集まった100人以上のクラフトビール事業者向けに、ビアクオリティーコントロールセミナーも実施された。内容はシエラネバダブルーイングのスティーブ・グロスマンによる同セミナーと、そのほかの米国のブルワーたちによるパネルディスカッションという構成。それらの抄録をお届する。 米国のクラフトビールの歴史と、品質管理について スティーブ・グロスマン(シエラネバダブルーイング ブルーイングアンバサダー) 米国のクラフトビールの歴史 まず、米国のクラフトビールの歴史から紹介します。 米国には禁酒法の施行(1920~1933年)というむごい歴史があります。禁酒法が始まる前の1919年には、3200のブルワリーがありました。そして禁酒法が終わった1933年には、42しか残りませんでした。しかし現在は3400にまで再び増え、クラフトビールを取り巻く環境は大いに盛り上がっています。 復活の始まりは、1960年代に起きました。それは、クラフトビールのパイオニアであるフリッツ・メイタグが1965年にアンカーブルーイングを始めたことです。これがマイクロブルワリーの歴史の始まりです。 ちなみに、私たちシエラネバダブルーイングは1980年に創業で、アンカーブルーイングを1番とすると、3番目となります。2番目のニューアルビオンブルーイングはつぶれてしまいましたが、業界が発展していくのに大きな影響を与えていました。 私たちが創業した当時は、クラフトビールという言葉はまだなく、ブルワリーは「マイクロブルワリー」と呼ばれていました。残念ながら、1981年にあったマイクロブルワリーのほとんどは既につぶれてしまいました。1983年には大手を含めて43のブルワリーがありました。 マイクロブルワリー/ブルーパブの数は、1990年ごろから急増。1999年には1400を超えました。しかしなかには、品質を重視せず、残念ながらつぶれていってしまったところもありました。逆に言えば、2000年以降に参入してきたブルワリーは、品質を重視してきたのです。 シエラネバダも、最初は高性能で高価な設備は導入できなかったが、事業を拡大していくにつれ、より良い設備を取り入れてきました。やはり鮮度や品質を保つためです。そして最近は、ノースカロライナ州にブルワリーを新設しました。 品質管理の方法 鮮度や品質を管理するために、冷蔵設備は極めて重要です。冷蔵コンテナで製品を輸送するのはもちろん、届いた製品を冷蔵管理するのは必須であり、熱処理をしていない多くのクラフトビールはなおさらです。冷蔵管理をしないと、ホップの味・香りもどんどん減退していきます。陳列のローテーション(いわゆる「先入れ先出し」)もしなければなりません。 シエラネバダの場合は製品の賞味期限を150日に設定していますが、30日以内に売り切るのが望ましい。シエラネバダではまた、輸送トラックのコンテナ内部の温度は7.2℃を保っています。GPS(全地球測位システム)で温度を記録し、ほぼリアルタイムでチェックしています。 時間が経って、ホップのフルーティーな香りや苦味が減っていくととともに出てきてしまうのが、オフフレーバー(好ましくない味・香り)です。オフフレーバーは「紙・段ボールのよう」「加熱した穀物のよう」「シェリーのよう」「ナッツのよう」などと例えられます。 ビールの劣化の主な原因は酸化です。どんなビールでも多かれ少なかれ、酸化が起きています。これを気にならないレベルに抑えるために、各ブルワリーは努力をしています。しかし出来上がったビールにおいて、温度が5.5℃上がると、酸化は2~3倍進んでしまいます。 温度のほか、光も劣化の原因となり、日光臭というスカンクのようなにおいを生み出します。そのため、多くのブルワリーでは、光を遮るために缶や茶色のボトルを採用しています。劣化の原因となる光は、日光だけでなく、青から紫外線の範囲にある光(例えば蛍光灯)も当てはまります。缶は、詰めたビールがボトルに詰めたビールよりも酸化しづらく、そしてボトルよりも軽量で、輸送面で環境にやさしいこともあり、特に流行っています 樽詰めビールの品質管理 BAは、『Industry-wide Draught Quality Standards』と『Draught Beer Quality for Retailers』という素晴らしい冊子をつくっていて、樽詰めビールの品質管理について啓発しています。 消費者は新鮮で、味わい豊かな、本物のビールを欲しがっています。輸送の方法から注ぎ方まで、あらゆる適切な提供の仕方が消費者から求められているのです。品質で重要なのは、「新鮮であること」「雑味がないこと」「発泡が適切であること」です。   缶・ボトル詰めよりも、樽詰めの方が品質管理は複雑です。サーバーの維持・管理やそれを扱うスタッフの教育があるからです。そうした意味でも、クラフトビールの樽詰めのビールを提供するお店のオーナーは、提供するビールに対して大きな責任を負っていると言えます。これらの要点をまとめた『Industry-wide Draught Quality Standards』と『Draught Beer Quality for Retailers』をぜひ読んでいただきたいと思います。 樽詰めのビールも缶・ボトル詰めビールと同様に、温度が5.5℃上がると、酸化は2、3倍早く進みます。時間が経てば経つほど、酸化などによるオフフレーバーが出てくるのも同様です。ですから樽も、常に冷蔵庫で管理するのが重要です。米国でもアラスカではその必要はないかもしれません(笑)。 また、10℃になった樽詰めビールを3.3℃まで冷やすには、冷蔵庫に入れて25時間かかってしまいます。この時間の面でも、常に冷蔵管理をすることをお勧めします。 オフフレーバーを出さないためには、以下の点が重要です。 ・ブルワリーはそもそも、品質が良いビールをつくって詰めるようにする ・ブルワリー内部はバクテリア汚染が起きないように、清潔に保つ ・ブルワリーはなるべく新鮮なビールを届けられるよう、ビールが出来上がったらすぐに発送できる計画を立てる ・ブルワリーと取引先が品質の基準について話し合う ・先入れ先出しを守る ビールライン、グラスの洗浄 ビールラインの洗浄も極めて重要です。BAの基準では、2週間ごとにすべきとしています。定期的にライン洗浄をしないと、内部にビールがこびり付いて、お客はそれが溶け出た味の悪いビールを飲むことになります。また、紙・段ボールのようなにおい(酸化臭)、バターのようなにおい(ダイアセチル)、金属のような味(メタリック)が出るようになってしまいます。 ライン洗浄を3、4カ月ごとにする場合、8%以上のビールがロスとなってしまいます。しかし2週間~1カ月ごとにする場合、ロスは2%になります。洗浄の頻度を上げるとロスは減っていき、状態がより良いビールを提供できるのです。 ビールを通すホースは、短い方がいいですね。洗いやすいですし、ビールのロスが少ない。米国には60~70メートルのホースがありますが、洗浄するという面では良くありません。またホースが長いと炭酸ガスではなく窒素ガスを使う必要があり、後者は前者より高くつきます。この面で、短いホースの方が経済的だと言えます。 蛇口の金属製の部品もしっかりと洗浄する必要があります。そしてその素材も重要で、おすすめはステンレス鋼製です。真ちゅう製もありますが、ステンレス鋼製の方が扱いが簡単で衛生的で、金属的な味も出づらい。 グラスの洗い方も重要で、どのような油が付着するかにもよりますが、洗浄、すすぎ、サニテーション、空気乾燥の手順を踏む必要があります。仕事上、多くのバーを訪れて自分のところのビールを飲みますが、たまに泡が立っていないことがあります。グラスをきちんと洗っていなくて、汚れが残っているからです。そうしたビールを私が飲むことはありません。…

8月8日クラフトビール夜市:お化けと一緒にビールを飲める?

京都府第2の都市と言うと難しいかもしれないが、お茶と言えばすぐさま宇治である。今年8月8日(土)に、この宇治でビールのイベント「クラフトビール夜市」が開催される。 これまで宇治ではこの時期、なんと56回にわたって年1回の宇治川の花火大会を開催してきた。しかし去年は台風の影響による宇治川の増水で初めて中止せざるを得なくなった。そして今年は、川沿いの花火打ち上げ場所が護岸工事の都合で打ち上げが不可能であり、早々に中止を決めていた。そこで、地域にとって年1回の重要な祭の機会を維持するためにまず「宇治歴史夜噺」というお化けをテーマにした祭を8月8日、9日に開催することにした。そのプログラムの一つとして、盛り上がりを見せているクラフトビールのイベントを8月8日に開催することになったのだ。 なぜお化けをテーマにしたかというと、宇治の名前がついている説話集である『宇治拾遺物語』に収録されているジャンルに「恐ろしき話」があるからだ。そしてクラフトビールは、京都府内にブルワリーが6カ所あり、京都市内だけでなく宇治にもクラフトビールを扱うお店があり、定着の兆しを見せている。そしてそのお店の一つであるザ・ロッキンハーツが協力する形で、クラフトビール夜市が実現することとなった。 クラフトビール夜市の会場は、JR奈良線の宇治駅からほど近い、宇治橋通り商店街のうちの約400メートル。当日は歩行者天国になる。出店予定は五十音順で、伊勢角屋麦酒(三重)、一乗寺ブリュワリー(京都)、黄桜(京都)、キンシ正宗京都町家麦酒(京都)、京都醸造(京都、本誌最新号を参照)、京都周山街道ビール(京都)、國乃長ビール(大阪)、丹波篠山ジグザグブルワリー(兵庫)、茶緑本舗和束茶ビール(京都)、山岡酒店(京都)の10者である。それぞれがビール1杯約300mlを500円で提供する。フードは商店街の各店からさまざまなメニューが出される予定だ。 1杯から楽しめるので、近場の人がふらっと寄って面白いのはもちろん。さらに、ビール提供者は比較的近隣のところが参加しているので、地域性を感じることができる。違う地方から遊びに行くとそれはなおさら感じられるだろう。会場にはベンチのほかテントも用意される予定であり、少々の雨でも決行とのことである。そして最も珍しいのが、「夜市」の名前の通り、開催時間が16時~22時にしていることである。真夏の時期だが、少し涼しくなった時間帯でビールを楽しめるということだ。 ザ・ロッキンハーツの店主の江口篤志は「宇治にはかつて地ビールメーカーがあり、市民はなんとなくクラフトビールのことを知っている。全国的にも珍しい夜のクラフトビールイベントとして定着させたい」と意気込む。 クラフトビール夜市開催前の8月8日14時からは、これからクラフトビールを楽しんでいきたい人のために、テイスティングを体験するイベントも開催。クラフトビールを余すことなく楽しむためのノウハウも提供される。申し込みはザ・ロッキンハーツ(電話:0774-23-3303、E-mail: therockinhearts2013@gmail.com)まで。 開催情報 イベント名:クラフトビール夜市 場所:宇治橋通り商店街(京都府宇治市、JR奈良線・宇治駅からすぐ) 日時:8月8日(土)16時~22時(14時~ザ・ロッキンハーツにてビールのテイスティングイベントも開催)